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木の住まいコラム

HOUSE BUILDING
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デザイン?機能性?自分たちに合った階段の選び方

こんにちは。北陸型木の住まい研究会の多賀です。
みなさんのお住まいの家の階段はどこにありますか?昔ながらの家では廊下にあるものが多いのではないでしょうか。最近はリビングに階段を設けるデザインも多く見かけるようになってきました。

2階建て以上の家を建てるなら必ず必要になる階段。家づくりをご検討中の方でも「リビングはこうしたい」「家事動線を良くしたい」と考えることはあっても、階段の位置や種類は設計者におまかせという方も多いのではないでしょうか。
実は、家づくりを考える上で階段の位置や種類はすごく重要です。階段の選び方ひとつで、暮らし方や空間の印象が大きく変わることになります。

今回はそんな「階段の選び方」について、次の3つのテーマに沿ってお話しします。

1.どんな種類の階段があるの?
2.デザインにも注目
3.「どんな暮らしがしたい?」で考える階段の位置

 

<1>どんな種類の階段があるの?

今回は代表的な4種類をご紹介します。

①直階段

【特徴】
・その名の通り真っ直ぐに伸びた形
・最短距離で上り下りができる
・縦に長いスペースが必要になり、上り口と上りきったところの位置が離れる
・踏み外すと一気に下まで落ちてしまうので、小さなお子様やご年配の方がいる家庭では注意が必要

 

②かね折れ階段

【特徴】
・階段が途中で90度折れ曲がる形
・踊り場があるので直階段よりスペースが必要
・途中に踊り場があるので、万が一踏み外した際も一気に転落することは避けられる

 

③折り返し階段

【特徴】
・上から見るとUの字形になっており、途中で向きが180度変わる形
・折り返し部分は踊り場にする場合と、省スペースとするため三角の段をつける場合がある
・最もスペースが必要な階段
・かね折れ階段と同じく途中に折り返しがあるので、万が一踏み外した際も一気に転落することは避けられる

 

④らせん階段

【特徴】
・中心の柱を軸にらせん状に上り下りする形
・デザイン性が高く、インテリアとしての存在感がある
・筒状に収まるため省スペースで施工できる
・荷物を持っての上り下りが大変

 

階段は安全に上り下りをするため、ステップの奥行や1段の高さに制限を設け、急勾配な階段はつくれないようになっています。そのため階段の種類によって必要な面積が変わってきます。また階段の上りきった位置がどこにくるかによって、2階の間取りのバランスが左右されることにもなります。

無駄の少ない間取りとするため、階段の種類は家の形状や間取りにあわせて、設計者が最適な階段を選ぶことが多いです。

 

<2>デザインにも注目

階段の印象を左右するデザインは大きく分けて2種類です。

■ボックス階段

[株式会社山築さん施工事例]

【特徴】
・両側面が壁になっている
・段の間や側面に隙間がなく、小さなお子様でも安心
・階段下収納を作れる
・閉塞感があり暗くなりがち

 

ボックス階段は、階段を支える構造材を壁の中に隠した階段です。かね折れ階段、折り返し階段はボックス階段とすることが多いです。
家の中央に持ってきてしまうと、昼間でも階段が真っ暗になってしまうので、外壁側に配置して窓を設ける間取りとすると良いです。階段自体のデザイン性は高くはありませんが、壁に絵を飾る、ニッチを設けるなど、工夫次第で印象に残る空間にすることが可能です。

[ニッチを設けた階段例]

 

■オープン階段(スケルトン階段)

[AT HOME LABOさん施工事例]

【特徴】
・蹴込板がなく、側面の両側または片側に壁がない
・圧迫感がなく部屋を広く見せてくれ、採光性もよい
・階段そのものがインテリアになる
・鉄骨階段や木製階段など素材が選べる
・隙間があるため安全面に配慮が必要
・隙間からほこりが降ってくる

 

オープン階段は、その名の通り階段を支える構造材をオープンにした階段です。直階段、らせん階段はオープン階段とすることが多く、デザイン性が高く開放的な間取りにフィットします。
壁がない側面には手すりを付けますが、小さいお子様には手すりだけでは危ないため、転落防止のネットや半透明のボードをつける場合があります。
オープン階段はデザイン性も良く間取りの自由度も増しますが、一般的にコストが高くなります。

階段のデザインは家の印象を大きく左右するため、建て主の憧れや要望を取り入れ、設計に反映することが多いです。

 

<3>「どんな暮らしがしたい?」で考える階段の位置

階段の位置は、リビングに接して設ける場合と、廊下など居室とは区切られた位置に設ける場合の2つのパターンがあります。階段の位置を決める上で重要なのは、「その家で暮らす家族がどんな暮らしがしたいか」です。

 

■「家族との繋がりを重視した暮らし」ならリビング階段を

リビング階段にした場合、2階の自室へ行くときには必ずリビングを通ることになるため、「家族の帰りがわかる、家族の気配を感じやすい」という特徴があります。また最近は家の狭小化の傾向があり、廊下を設けない家も多くなっているため、リビング階段を採用することが多くなっています。
ただしリビングと2階が空間的に繋がるため、「断熱性が低いと暖冷房が効きにくく、光熱費がかさむ」「料理の匂いが上階にも広がる」といったデメリットもあります。
またお子様が小さいうちは良かったものの、大きくなり友人を家に招いたとき、リビングを通らなければ自室に行けないことがデメリットになってしまうこともあります。

 

■「家族のプライバシーを重視した暮らし」ならホール階段(廊下)を

ホール階段にした場合、家族のプライバシーを尊重しやすい家にできます。家族の人数が多い場合や、親世帯との同居の場合など、程良い距離感を保ちたい場合にお勧めです。
ただしリビングを通らず自室へ行けるため、家族間のコミュニケーションが取りにくくなってしまうことがデメリットです。

 

<まとめ>

今回は基本的な階段のみのご紹介でしたが、階段の種類・デザイン・配置を組み合わせることで、様々な特徴をもった階段の設計が可能です。例えば側面の壁を本棚にする、踊り場のスペースを広くとりワークスペースにするなど、設計次第でさらに個性豊かな空間をつくることも可能です。

暮らし方や家族構成によって何を重視するかは人それぞれです。家づくりをご検討の際には、機能性・デザイン性だけではなく、どんな暮らしがしたいかを考え最適な階段を選んでください。