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地震に強い家づくり【Part.3】

前回は、家を建てる前に知っておきたいポイント「地震の揺れと地盤の関係」についてお話しました。

第3回目は、知っておきたいポイントの続きとして、「地震の揺れと積雪・壁配置の関係」をご紹介します。

 

<知っておきたいポイント1 「積雪」>

地震時の揺れは、建物が重いほど大きくなります。

例えば屋根に1.5mの雪が積もった状態で地震がくると、積もっていないときに比べ揺れ幅が約1.5倍以上大きくなります。

 

特に北陸地方の雪は、水分が多いため重く、体積が大きくなり積もりやすい特徴があります。そのため積雪量が増えると屋根への負担が大きくなり、地震の被害も大きくなってしまいます。

ですから家を建てる際には、積雪を考慮した設計が大切なのです。

 

 

 

 

<知っておきたいポイント2 「壁の配置」>

建物を支える柱は真上からの力には強いのですが、横からの力には非常に弱いです。例えば地震の横揺れや、台風の横からの強風などです。

建物はこの横からの力に耐えられる構造でなくてはなりません。

ここで重要となるのが、「耐力壁」というものです。

耐力壁とは、地震などの大きな力に対し耐えられる壁を指します。この耐力壁をどれだけ配置するか、どんなバランスで配置するかが重要になってきます。

 

◎耐力壁の量

同じ強さの耐力壁で比べた場合、耐力壁の量が多いほど地震に強く、少ないと地震に弱くなります。

また大広間や開口部を設けると必然的に耐力壁の量が減り、耐震効果は弱まります。

 

この耐力壁は、建物の大きさや重さによって、必要となる最低量が決められています。

 

◎耐力壁のバランス

大切なのは耐力壁の量だけではありません。バランスも重要です。

耐力壁が十分にあったとしても、配置バランスの悪さにより耐震性を損なうことがあるのです。

 

 

このバランスの良し悪しは「偏心率」という数値で表されます。

建物には、建物の重さの中心「重心」と耐力壁の強度の中心「剛心」があります。

「重心」と「剛心」のズレが大きいと、地震時に建物にねじれが生じて損傷してしまいます。

このズレの程度を表したのが「偏心率」です。数値が小さいほうがズレが少なく、バランスの良い構造となります。

一般的に偏心率0.3以下が良いとされています。

 

◎直下率

直下率とは一階及び二階の、柱や壁の位置の一致する割合です。

一階と二階の間取りを同じにすれば直下率は100%にできるかもしれません。しかし、広いリビングや吹き抜けなど快適性やデザイン性を考慮して間取りを計画することも多く、自由度を追求すると直下率は低下しがちです。

 

 

現在の耐震基準には、直下率の規定がありません。

 

しかし2016年に発生した熊本地震では、耐震等級2※の住宅が倒壊し、図面の分析から「直下率の低さが、倒壊の原因の1つではないか」と見解が出ました。

※耐震等級とは、品確法の耐震基準の定義。最低基準が耐震等級1。地震後も住み続けられるレベルが、耐震等級2。防災拠点並みの最高等級が、耐震等級3。

 

この出来事から、直下率が重視されるようになっています。

 

 

<ポイントを抑えて、地震に強い家づくりを>

地震に強い家づくりには、「地盤の揺れやすさ」「積雪」「壁の配置」を考慮した設計がとても重要です。

建物を設計するのはプロですから、今回ご紹介したポイントを押さえた設計をしてくれると思います。

ですが、本当に地震に強い家をつくりたいと思うのでしたら、「揺れやすい地盤ではないですか?」「積雪を考慮した設計になっていますか?」「直下率は大丈夫ですか?」と念押ししておきましょう。

 

次回は、今回も登場しました「耐力壁」について、もっと詳しくご紹介します!

繰り返す余震にも耐えられる、強い壁についてお話しします。

 

 

地震に強い家づくりコラム

▷【Part.1】~北陸地方の耐震意識は、全国何位?~

▷【Part.2】~地震の揺れと地盤の関係とは?~