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木の住まいコラム

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構造だけじゃない!地震に強い地盤の見分け方

こんにちは。北陸型木の住まい研究会の田村です。

皆さんは家づくりにおいてどのくらい地震対策を考えていますか?
「地震に強い家」を建てることは、地震大国である日本で安心して暮らすためには必要不可欠ですよね。しかし、何を根拠に「地震に強い家」と定義するかは住宅会社さんによって異なります。
また、「地震に強い家」というと構造体の話が中心になりやすいですが、実際に必要な耐震性能は地盤の揺れ方によって変わります。つまり、同じ構造の家でも建築地の地盤によっては地震対策が不十分なこともあるのです。

今回は、地盤から考える地震に強い家づくりについてお話します。

<1>地震に強い家とは
<2>構造だけじゃない!地震に強い地盤の見分け方
<3>地盤の揺れやすさを踏まえた地震対策

<1>地震に強い家とは

一般的に、地震に対する建物の強さを示す指標として「耐震等級」があります。
耐震等級は、建物の倒壊・損傷のしにくさを基準に1~3の3つのレベルに分けられ、数字が大きくなるほど耐震性能が高いと評価します。現在の建築基準法では、最低限の基準を満たす耐震等級1以上であれば建築できます。
耐震等級1では、数十年に一度程度発生する震度5強相当の地震に対して損傷を生じないレベルと定義づけられています。しかし、2016年に発生した熊本地震では、震度7を観測しているため、耐震等級1では仮に倒壊を免れたとしても、補修や建て替えが必要になる可能性があります。
そのような背景から、近年では耐震等級1よりもレベルの高い、耐震等級2や最高グレードの耐震等級3を標準仕様とし「地震に強い家」をアピールする住宅会社が増えてきました。最高グレードの耐震等級3は耐震等級1の1.5倍(警察署や消防署レベル)の耐震性能があり、もしもの時でもそのまま住み続けることができる住宅と言われています。

<2>構造だけじゃない!地震に強い地盤の見分け方

では、耐震等級3の家であれば地震に強い家であるかというと、そうではありません。
地震に強い家に重要な「地盤の揺れやすさ」は耐震等級だけでは評価できないからです。どんなに建物が丈夫でも、家を支える地盤が軟弱だと、建物の強度が落ちてしまいます。地盤の揺れやすさも合わせて地震対策をすることが真に地震に強い家と言えます。
家を建てる時には、地盤の強度や性質を測定する地盤調査を必ず行う必要があります。住宅の総重量は木造住宅で数十トンにもなるため、地盤が軟弱だと建物の重さで沈下や家が傾くなどの危険性があります。調査の結果、地盤が軟弱だと判断された場合には地盤改良を行い、沈まないように地盤を固くする必要があります。
ここで多くの方は「地盤改良をすれば地震の揺れに強い地盤になる」と誤解してしまうのですが、実は、地盤改良を行っても地盤を揺れにくくすることはできないのです。そもそも、地盤調査は地盤の「沈みやすさ」を調査するもので「揺れやすさ」を測ることはできません。

地盤の揺れやすさを調べる方法は2つあります。
まずはHPで調べる方法です。地震ハザードステーションJ-SHIS (bosai.go.jp)では無料で地震ハザードカルテを作成することができます。地盤増幅率(地盤の揺れやすさ)や今後30年または50年間に震度5弱~6強の地震が発生する確率などを確認することができます。参考にご覧ください。
さらに詳細に調べる場合には、「微動探査」というシステムで地震が起きた際の「揺れやすさ」を測定すると良いです。微動探査では、特殊な機械を建築地の地面に置き、人間では感知できないわずかな振動を観測し、地盤の揺れやすさを測定することができます。ハザードマップだけではわからない、その宅地の地盤特性をピンポイントで知ることができます。
地震の際、同じ地域であっても表層地盤や盛土の有無などによって地盤の揺れやすさは異なるため、その地盤に合った家づくりが地震による倒壊リスクを未然に防ぐことに繋がります。

<3>地盤の揺れやすさを踏まえた地震対策

万が一、建築地が揺れやすい地盤だと判断できた場合は対策が必要です。
現在の日本には、地盤を揺れにくくする一般的な改良方法はないため、地盤の特性に合わせて建物の強度を高める必要があります。具体的には、耐力壁(地震の力に耐える壁)の量を増やしたり、地震の力を吸収する「制振装置」を設置したりするなどがあります。対策をする際には、地震が発生した際にどの壁に負荷がかかりやすいか、制振装置をどの壁に設置すれば効力を最大限発揮できるかを事前に調べることが重要です。
その方法として、倒壊解析ソフトWallstat(ウォールスタット)があります。Wallstatは、住宅の図面から解析モデルを作成し、過去に発生した大地震と同じ地震波でシミュレーションを行うことで、壁の損傷状況や倒壊過程を視覚的に確認することができます。また、微動探査で測定した建築地の揺れやすさや、屋根にかかる積雪荷重、建築工法など一邸一邸異なる建築条件でシミュレーションができるため、最適な対策をとることができます。

<まとめ>

「地震に強い家」といってもその定義は住宅会社によってさまざまです。地震に強い家づくりを考えるうえで大切なのは、構造だけでなく建築地の地盤の特性を知ることです。いつ、どのような規模の地震が来ても、自分の家が一番安心だと思える暮らしを実現するために、地盤の揺れやすさを踏まえた地震対策が必要です。

まずはJ-SHISなどの無料サイトを参考にご自身の建築地域の地盤を調べてみるところから始めてみましょう。ウッドリンク・ラボでは地盤から考える家づくりについて詳しくお話しています。ご希望があれば建築予定地域のハザードマップも無料でお渡しできますのでお気軽にお問合せください。

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